各社様々なブランクディスクが発売されていますが、デジタル音楽では音楽データさえ同じならば
デジタル情報に多少エラーが発生してもエラー訂正技術によって基本的に同じ音を再生でき、
ディスクによって音が変化すると言うことは理論的にはあり得ないのですが、
事実ディスクによって音は違います。
この件に関しては、テクニカルの「ディスクによる音の違い」で説明していますが、
ここではカートリッジ、つまり「シェル」による音の違いを考えてみたいと思います。
今回の実験では、シェルによる音質を追求しているAXIAのディスクと、
シェルからディスクまで徹底的に高品位を目指したTDK
XA-PROを使用します。
・正式な74分ブランクミニディスク(2枚)・・・AXIA
MD CS カラーシリーズ「MD CS 74 BW」を用意
・高品位とされる74分ディスク・・・何はともあれ、ねじ止めされて分解しやすい「TDK
XA-PRO 74」
・録音可能なデッキ・・・今回は無茶しないので、ケンウッド「DM-9090」
Step1:TDK XA-PROを分解しよう!
TDK XA-PROは三層構造でシェルの固定でネジを使用。
TDK XA-PROを分解した図
Step2:AXIA CS 74 BWを分解!
XAと違って、このシェルはその他ディスクと同じように超音波による圧着方式。
誤消去防止ノッチからドライバーを突っ込んで分解。シェルを破壊しないように注意して。
AXIA MDCS74BWを分解した図
Step3:双方のディスクを入れ換えて元通りに。
左が今回作成したシェルがXA-PROで中身がMDCSのMD。
(この後シャッターをMDCSのに変更しています。下の写真参照)
右が通常のXA-PRO。ディスクの色が違うのが一目瞭然。
MDCSのディスク表面は「シルバー」、XA-PROは「ゴールド」
これで左が「CS-PRO」、右が「AXIA-XA」の出来上がりです。
注意:以下表現を統一するために、次のようにします。
何もしていないTDK XA-PROを「XA-PRO」
何もしていないAXIA MD CDを「MDCS」
XA-PROのシェルを身にまとったMDCSのディスクを使用しているMDを「CS-PRO」
AXIA MDCSのシェルを身にまとったXA-PROのディスクを使用しているMDを「AXIA-XA」
音質チェックは、私が行っているディスクチェックと同じ方法を使用します。
使用機器はCDプレイヤー「DP-5050」、MDプレイヤー「DM-9090」、使用音楽CDはここを参照。
ノーマル「AXIA MDCS74BW」
:きれいな音を きれいなシェルで
:振動吸収設計シェルでいい音
: 新型Σ−4シェル
:曲名カードが使えるAXIA独自の
: オイスターケース
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*いままでAXIAのディスクは聴いたことがありませんでした(80分ディスクを除く)
*率直な感想は、意外に透明感があるなぁと思いました。
*その分高音域が多少強く、低音域は程々でした。別に悪くはないのですが、
*高音がざらついている?乾燥しているような気がしました。
*意外に良い手応え、この音質は「シェル」によるものなのでしょうか・・・?
ノーマル「TDK XA-PRO」
ウンドのクオリティーを徹底的に追及、
ピュアオーディオMD
高品質なデジタル光信号を実現、
新素材採用EQディスク
低共振で光信号の精度アップ、
高比重・高剛性ARTSシェル
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:コメント等はブランクディスクのページにあるものと同じものです。
*音の透明感はそれほど無い。これが何であるか最近まで分からなかったが、
*宇多田ヒカルを聴いて分かった。低音域が強いのだ。
*高音域は上から押さえつけられているようで、あまりインパクトがない反面、
*低音は力強く広がりをみせる。また高音域が弱いためMD特有の
*「さしすせそちつ」のチクチクする音が和らいでいる。
*刺激感はかなり少ないので、落ち着いた曲に適していると思う。
*オールマイティーとは言っていたが、かなり音楽を選ぶディスクだと判明。
(左)AXIA MDCSのシェルを身にまとったXA-PROのディスクを使用しているMD「AXIA-XA」
(右)XA-PROのシェルを身にまとったMDCSのディスクを使用しているMD「CS-PRO」
かなりすごい結果が出ました。なんと!「CS-PRO」の音が豹変しました。
ディスク自体は「MDCS」のものなのですが、シェルが「XA-PRO」のものになっただけで、
「XA-PRO」のように低音が強化されてしまいました。それはもう「XA-PRO」のようでした。
これにはかなりびっくりで、これは何となくではなく間違いなく変化に気づきます。
しかし「音づくり」的なものは「MDCS」を引き継いでいるようで、高音域のざらつき感が多少ありました。
逆に「AXIA-XA」は「XA-PRO」の時にあった、高音部が何かに押さえつけられていたという感じが
一掃されて、かなりクリアーな高音を魅せてくれました。しかも高音部特有なチクチク感も少なく、
かなり好印象です。しかし「XA-PRO」と違う点は音全域が自由になりすぎているということでしょうか。
つまり音楽によってはうるささを感じてしまうことがあります。
TDK XA-PRO特有の「低音が強く、広がり感が薄い」というものは「XA-PRO」のディスクが
AXIA「MDCS」のシェルを身にまとったことで魅せてくれた「音の広がり感」で、これは正しく「シェル」
によるものだと実感しました。
<結論>
「シェル」の効用は低音を強化したり、音の広がり感を出したりする「表現的」な作用がある。
ディスク自体の品質は、音そのものの作り、ざらついた、なめらかな、引き締まった、骨粗鬆症のような
音に作用していると私はまとめます。
このように「シェル」の交換で音質チェックをしてみますと、雑誌等(私も含めて)で言っている
ディスクの音質評価なんて本質的にはズバリではないなぁ〜と思いました(^^;
まぁ、通常使う上では「シェルの交換」という裏技はやらないので、ディスクの評価はそれで「正解」
なのですが・・・。
で、提案ですが、「ディスク」と「シェル」を選べるカスタムメイドなブランクディスクって、
どこかのメーカー作りませんか?これってちょっとしたマニアには大受けですよ(笑)
今後はもう少し幅広いディスクを用いて、比較検討したいと思います。